手紙や、ビジネス文を書くときに必要な時候の挨拶。
その一つに、「仲秋の候」があります。
「仲秋の候」は、漢字の持つイメージから、秋の中頃に使うのではないかと予想できますね。
しかし、実際には、いつ使う時候の挨拶なのか、よく知らない方も、いらっしゃると思います。
そこで、今回は、「仲秋の候」について、読み方や意味、使える時期や、挨拶文の具体的な時期などについて、ご紹介したいと思います。
仲秋の候の読み方と意味は?
「仲秋の候」は、時候の挨拶の中でも、漢語調の表現ですので、漢字の部分をそのまま、音読みにして、(ちゅうしゅうのこう)と読みます。
仲秋とは、漢字の表すとおり、秋の季節の時候の挨拶に用います。
仲秋は、秋の真ん中の頃、つまり、「秋も、だいぶ深まってきた頃」という意味になります。
すぐに思い浮かぶのは、「中秋の名月」という言葉だと思います。
ですが、仲秋と中秋は、意味が少し違います。
「仲秋」は、旧暦で8月をさしており、二十四節気で、秋の中頃の時期を指します。
一方、「中秋」は、旧暦の8月15日のことで、この日に見える十五夜の月を「中秋の名月」と呼んでいます。
中秋も、仲秋も、読み方は同じですが、意味は異なっているのです。
候は、季節、気候、自然現象という意味です。
「◯◯の候」とは、「◯◯の時期になりましたが‥」という意味です。
「候」をそうろうと読むと、「◯◯でございます」という古文の丁寧語になります。
時候の挨拶の「候」とは、意味が異なりますので、間違いないようにしてください。
「候」と似た表現には、「◯◯の折」、「◯◯のみぎり」があります。
ということで、「仲秋の候」の意味は、「秋もだいぶ深まる季節になりましたが‥」となります。
仲秋の候の使える時期は?
仲秋の候の使える時期は、およそ、9月10日から、10月10日頃までの約1カ月となります。
旧暦の白露(9月8日頃)から寒露(10月8日頃)までです。
仲秋は、初秋、仲秋、晩秋のうち、旧暦の真ん中の8月になります。
つまり、新暦では、9月上旬から10月上旬までの時期に使うのが適しています。
「仲秋の候」と同じ時期に使える表現は、他に、「秋涼の候」、「秋冷の候」、「晩秋の候」などがあります。
「仲秋の候」の使える時期は、意外と短いので、時期を間違えないようにしてくださいね。
仲秋の候を使った例文
ここでは、「仲秋の候」を使った例文をビジネス、公的な手紙、上司や恩師への手紙、友人、知人への手紙の3つのシーンに分けて、例文をご紹介します。
ビジネス・公的な手紙
〔書き出し〕
拝啓 仲秋の候、爽やかな秋晴れの季節となりました。貴社におかれましては、益々ご隆盛のことと、お慶び申し上げます。
拝啓 仲秋の候、朝夕、次第に、涼しさを感じるこの頃、貴店、ますますご清栄のことと、お慶び申し上げます。
〔結び〕
今後とも、変わらぬご指導のほど、よろしくお願いいたします。敬具
実り多い秋となりますよう、心よりお祈り申し上げます。かしこ
上司・恩師に送る手紙
〔書き出し]
拝啓 仲秋の候、天高く秋の気配が濃くなってきました。皆様、お元気でしょうか?
拝啓 仲秋の候、爽やかな秋風の下、いかがお過ごしでしょうか?
〔結び〕
季節柄、ご自愛のほど、お願い申し上げます。かしこ
朝晩、随分涼しくなってまいりました。ご自愛の上、お元気でお過ごしください。かしこ
友人・知人に送る手紙
〔書き出し〕
仲秋の候、雲ひとつない秋晴れ、何をするにも心地よい季節となりました。お元気ですか?
仲秋の候、街路樹が色づき、秋の深まりを感じます。お元気でお過ごしですか?
〔結び〕
味覚の秋です。近いうちに、一緒にお食事でもいかがですか?
秋の夜長、夜更かしなど、すぎないように気をつけてください。
さいごに
「仲秋の候」は、文字通り、秋に使える時候の挨拶です。
「仲秋の候」の読み方は、漢字を全て、音読みにし、(ちゅうしゅうのこう)と読みます。
「仲秋の候」の意味は、「秋も、次第に深まる季節になりましたが‥」となります。
「中秋の名月」で使う中秋とは、意味が異なりますので、注意が必要です。
「仲秋の候」が使える時期は、旧暦の白露(9月8日頃)から、寒露(10月8日頃)までのおよそ1ヶ月となります。
四季折々の手紙には、自然の変化や、行事などに触れて、季節感を盛り込むのがポイントです。
ということで、あなたも、この秋、「仲秋の候」を使って、親しい方や、友人に、手紙を出してみてはいかがでしょうか?
お相手に喜ばれると思いますよ。
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