手紙やビジネス文章を書くときに使う時候の挨拶。
その一つに、「野分の候」があります。
「野分の候」の意味を知るためには、まず、野分いう言葉の意味を知る必要がありそうですね。
また、「野分の候」は、いつ頃使えるのかも、大切なポイントとなります。
そこで、今回は、「野分の候」の読み方や、意味使える時期や、挨拶文の具体的な例文などについて、ご紹介します。
野分の候の読み方と意味は?
「野分の候」の読み方は、(のわきのこう)と読みます。
時候の挨拶は、漢字の部分を音読みにすることが多いのですが、「野分の候」については、音読みが当てはまりません。
ですので、この時候の挨拶については、読み方が難しいかもしれませんね。
野分とは、古い文学作品や、俳句、和歌に、などで使われています。
また、平安時代に書かれた源氏物語や、枕草子などにも、用いられてきた表現です。
野分は、秋に吹く暴風という意味があります。
つまり、台風のことを指しているのです。
「野の草を掻き分けるような強い風」というのが語源です。
候は、季節や時期、自然現象を表す言葉で、「〜です」の古文調の表現である候とは、全く意味が異なっています。
「◯◯の候」は、「◯◯の季節になりましたが‥」という意味になります。
候に似た表現には、他に、「◯◯の折」、「◯◯のみぎり」があります。
ということで、「野分の候」は、「風が強く吹く季節になりましたが‥」とか、「台風が多い季節になりましたが‥」という意味になります。
野分の候の使える時期は?
「野分の候」が使えるのは、いつからいつまでなのでしょうか?
「野分」は、立春から数えて、210日から、220日頃に吹くと言われてきました。
昔から、210日、または、220日は、台風が到来し、台風の被害が多い日でした。
立秋から、210日は、9月1日頃、220日は、9月11日頃となります。
このことから、「野分の候」を使える期間は、9月1日から、9月11日頃を目安に考えると良いと思います。
しかし、今は、台風が到来する時期が、昔より長くなっているため、野分の候は、9月いっぱい頃まで、使ってもいいと思います。
野分の候を使った例文
ここでは、「野分の候」を使った例文をビジネス、公的な手紙、上司や恩師への手紙、友人、知人への手紙の3つのシーンに分けて、例文をご紹介します。
ビジネス・公的な手紙
〔書き出し〕
拝啓 野分の候、貴社、ますます、ご健勝のことと、お慶び申し上げます。
拝啓 野分の候、貴社、ご清祥のことと、慶賀の至りに存じます。
〔結び〕
貴社のさらなるご繁栄を心よりお祈り申し上げます。敬具
今後とも、ご支援、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。敬具
上司・恩師に送る手紙
〔書き出し]
拝啓 野分の候、◯◯様には、益々、ご壮健のこととお慶び申し上げます。
拝啓 野分の候、皆様には、益々ご活躍のことと、ご拝察しております。
〔結び〕
時節柄、ご自愛専一にて、お願い申し上げます。
かしこ
季節の変わり目でございます。ご健康に留意されますよう、心よりお祈り申し上げます。かしこ
友人・知人に送る手紙
〔書き出し〕
野分の候、台風一過の空が殊の外、青く澄んでいます。お元気ですか?
野分の候、秋風が心地よい季節、お健やかにお過ごしでしょうか?
〔結び〕
近づく台風の被害に遭われませんよう、皆様の安全を祈っています。
秋の長雨に、体を冷やさないようお気を付けください。
さいごに
「野分の候」は、秋に使える時候の挨拶です。
「野分の候」の読み方は、(のわきのこう)と読みます。
「野分」とは、「秋に吹く暴風」つまり、台風のことを指しています。
「候」は、季節や時期を表す表現です。
ですので、「野分の候」は、「風が強く吹く季節になりましたが‥」または、「台風が多い時期になりましたが‥」という意味になります。
「野分の候」は、立春から数えて、210日頃から、220日頃に使うのが最適です。
つまり、9月1日頃から、9月11日頃に使うのがベストです。
しかし、現在では、台風の到来する時期が長いため、9月1日から9月いっぱい頃まで、使っても、構わないでしょう。
ということで、この秋、あなたも、「野分の候」を使って、台風の時期に、お相手を気遣う手紙を出してみては、いかがでしょうか?
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