手紙やビジネス文書を書くときに使う、時候の挨拶。
その一つに、「秋雨の候」というものがあります。
漢字の持つニュアンスから、秋に使える時候の挨拶であるとことがわかります。
「秋雨の候」は、いつごろを示すのかについては、よく知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に、手紙などで、季節の挨拶をする際は、時候の挨拶は、大切なポイントになります。
そこで、今回は、「秋雨の候」の読み方や意味、使える時期や、挨拶文の具体的な例文などについて、ご紹介します。
秋雨の候の読み方と意味は?
「秋雨の候」は、時候の挨拶の中でも、漢語調の表現となりますので、漢字の部分を全て音読みにして、(しゅううのこう)と読みます。
(あきさめのこう)と読んでも、間違いではありません。
なんとなく、(あきさめ)の方が馴染みがありますね。
候は、天候や季節、自然現象を示す言葉です。
時候の挨拶で使用する場合は、「◯◯の季節になりましたが‥」という意味になります。
秋雨というのは、秋雨前線の停滞により、9月から10月にかけて続く、長い雨のことです。
夏の時期に降る豪雨のような激しい雨とは、異なります。
ですので、「秋雨の候」の意味は、「しとしとと秋の長雨が降る季節になりましたが‥」となります。
秋雨の候の使える時期は?
「秋雨の候」の使える具体的な時期は、いつなのでしょうか?
秋雨は、早ければ、8月の終わり頃から降ることもありますが、具体的には、旧暦で言うと、仲秋の頃に降る雨を指しています。
旧暦の仲秋は、いつ頃?と疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
旧暦では、7月、8月、9月が秋で、その真ん中の時期、8月が仲秋となります。
旧暦の8月は、新暦でいうと、8月下旬から10月上旬頃を示し、秋分を含む季節のことです。
ですので、「秋雨の候」は、具体的には、9月中旬から10月中旬頃まで、使用するのが最適です。
11月になり、立冬の頃になると、暦の上では、冬となりますので、その頃には、「秋雨の候」を使用するのは、適していません。
ですので、「秋雨の候」は、遅くとも、10月いっぱいまでに、控えておくのが良いです。
「秋雨の候」は雨という漢字が入っており、意味も、「しとしとと、秋の長雨が降る時期」ということから、雨が降らない天候の場合は、他の時候の挨拶、例えば、「秋晴の候」、「秋涼の候」などを使うのが良いと思います。
秋雨の候を使った例文
ここでは、「秋雨の候」を使った例文をビジネス、公的な手紙、上司や恩師への手紙、友人、知人への手紙の3つのシーンに分けて、例文をご紹介します。
ビジネス・公的な手紙
〔書き出し〕
拝啓 秋雨の候、空も秋色を見てまいりました。貴社、ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
拝啓 秋雨の候、秋風が肌に心地よい季節となりましたが、貴社におかれましては、益々、ご清栄のこととお慶び申し上げます。
〔結び〕
秋雨の折、貴社のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。敬具
秋雨の折、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。敬具
上司・恩師に送る手紙
〔書き出し]
拝啓 秋雨の候、一雨ごとに、秋の爽やかさが感じられる季節となりました。いかがお過ごしですか?
拝啓 秋雨の候、涼風に秋が感じられる季節となりましたが、皆様、お元気でお過ごしでしょうか?
〔結び〕
秋の気配が肌に染む季節、お風邪など召しませぬようご自愛ください。敬具
秋の長雨が続いております。
風邪など召しませぬよう、皆様のご健康とご多幸をお祈りしています。敬具
友人・知人に送る手紙
〔書き出し〕
秋雨の候、こやみなく降る秋雨に、人恋しさを感じる今日この頃です。お元気ですか?
秋雨の候、暑さも一段落し、朝夕は、しのぎやすくなりました。お元気ですか?
〔結び〕
秋も深まるこの季節、日ごとに寒くなりますが、風邪などひかれませんように。
紅葉の美しい季節となりました。健康には留意して、お過ごしください。
さいごに
「秋雨の候」は、秋の長雨が続く季節に使える時候の挨拶です。
「秋雨の候」の読み方は、漢字の部分を全て音読みにして、(しゅううのこう)と読みます。
(あきさめのこう)と読んでも、大丈夫です。
(あきさめのこう)の方が馴染みがありますね。
候は、天候や季節を表しており、「◯◯の季節になりましたが‥」という意味が込められています。
候の類義語には、「◯◯の折」、「◯◯のみぎり」という表現があります。
ですので、「秋雨の候」の意味は、「しとしとと、秋の長雨が降る季節になりましたが‥」となります。
「秋雨の候」の使える時期は、具体的には、9月中旬から、10月中旬頃となります。
雨が降らない秋晴れが続く天候の場合は、「秋晴の候」、「爽秋の候」など、他の時候の挨拶を使うと、ピッタリだと思います。
ということで、この秋、あなたも、「秋雨の候」を使って、親しい人や友人に、お相手の体調を気遣う手紙を出してみてはいかがですか?
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