ビジネス文や、改まった手紙などの冒頭で使用するのが時候の挨拶です。
その一つに、「夜長の候」というものがあります。
漢字からすると、秋の時期に使う挨拶と推察されます。
「秋の夜長」という言葉がとても有名ですよね。
しかし、具体的に、いつの時期に使うのか、よく知らない方も、いらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、今回は、「夜長の候」の読み方と意味、使える時期や、挨拶文の具体的な例文などについて、ご紹介したいと思います。
夜長の候の読み方と意味は?
「夜長の候」の読み方は、(よながのこう)と読みます。
秋の夜長と同じ読み方です。
時候の挨拶は、ほとんどが漢語調の表現であるため、漢字の部分を全て音読みにして、(ちょうやのこう)と読んでも、問題ないでしょう。
「夜長の候」の読み方は、二通りあるのです。
「夜長」は、「徐々に秋が深まり、冬に近づきつつある時期」を示しています。
候は、気候や天候、季節を表す言葉です。
「◯◯の候」は、「◯◯の季節になりましたが‥」という意味合いになります。
ですので、「夜長の候」は、「秋が深まり、夜が長く感じられる季節になりましたが‥」という意味になります。
夜長の候の使える時期は?
「夜長の候」の使える時期は、いつからいつまでなのでしょうか?
「夜長の候」を使う具体的な時期については、いつからいつまでとはっきりした決まりがあるわけではありません。
しかしながら、9月23日頃の秋分には、昼と夜の長さが同じになり、それを過ぎると、夜がだんだんと長くなってきます。
そして、12月22日頃の冬至になると、夜が最も長くなります。
9月の終わり候になると、「夜が長くなったな。虫の鳴く声が響き渡るようになったな」と感じますよね。
「夜長」は、旧暦で言う9月の季語でもあり、新暦で言うと、9月下旬から、11月上旬頃を示しています。
このことから、「夜長の候」を使える時期は、秋分(9月22日頃)から、冬至(11月上旬頃)が目安となります。
11月7日の立冬を過ぎると、暦の上では、もう冬を迎えるので、「夜長の候」を使うのは、11月7日頃までと考えておくと良いと思います。
夜長の候を使った例文
ここでは、「夜長の候」を使った例文をビジネス、公的な手紙、上司や恩師への手紙、友人、知人への手紙の3つのシーンに分けて、例文をご紹介します。
ビジネス・公的な手紙
〔書き出し〕
謹白 夜長の候、貴社におかれましては、益々ご清栄のことと、お慶び申し上げます。
平素は、格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
拝啓 夜長の候、貴殿、いよいよご清祥のことと、お慶び申し上げます。
日頃は、格別のご愛顧をいただき、ありがとうございます。
〔結び〕
秋涼の折、貴社のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。かしこ
秋雨の折、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。敬具
上司・恩師に送る手紙
〔書き出し]
拝啓 長夜の候、皆様におかれましては、益々ご健勝のことと、お慶び申し上げます。
拝啓 夜長の候、さわやかな秋晴れの日が続いていますが、お変わりありませんか?
〔結び〕
秋の黄葉が見事な折、どうぞお健やかにお過ごしください。かしこ
心も静まる好季節、日ごとに寒くなりますが、風邪などひかれませんように。かしこ
友人・知人に送る手紙
〔書き出し〕
夜長の候、天高く馬肥ゆる秋となりました。お元気ですか?
夜長の候、日ごとに秋が深まってまいりましたが、いかがお過ごしですか?
〔結び〕
秋が深まる季節、お体にお気をつけて、お過ごしください。
さわやかな秋晴れのもと、益々お元気でお過ごしください。
さいごに
「夜長の候」は、秋に使える時候の挨拶です。
「夜長の候」の読み方は、(よながのこう)ですが、(やちょうのこう)と読むこともできます。
「夜長」は、秋が深まり、冬が近づきつつある季節を意味しています。
「候」は、天候や季節を表す言葉で、「◯◯の候」は、「◯◯の季節になりましたが‥」という意味合いがあります。
ですので、「夜長の候」は、「秋が深まり、冬が近づきつつある季節になりましたが‥」という意味になります。
「夜長の候」の使える時期は、秋分(9月22日頃)から、立冬(11月7日頃)までとなります。
ということで、この秋、あなたも、「夜長の候」を使って、親しい方や、友人に、深まりゆく秋を感じさせる手紙を書いてみては、いかがでしょうか?
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