ビジネス文書や、手紙を書く時に使うのが、時候の挨拶です。
その一つに、「残菊の候」という表現があります。
「残菊の侯」は、あまり聞きなれない言葉なので、いつの時期に使えるのか、ご存じない方も、多いのではないでしょうか。
時候の挨拶は、使える時期が限られていたいるため、使い方を間違えると、お相手に良い印象を持ってもらえなくなってしまいます。
そこで、今回は、「残菊の候」の読み方や意味、使える時期やビジネス文の具体的な例文などについて、ご紹介したいと思います。
残菊の候の読み方と意味は?
「残菊の侯」は、漢語調の表現ですので、漢字の部分を音読みにして、(ざんきくのこう)と読みます。
菊という漢字は、非常に珍しく、日本語にした場合、音読みがなく、きくという訓読みしかありません。
ですので、このように、音読みと訓読みが混じったような読み方になっています。
「侯」は、天候、気候、自然現象を表す言葉で、時候の挨拶においては、季節、時節、といった意味になります。
「侯」の類義語として、折やみぎりという言葉があります。
残菊は、9月9日の重陽の節句を過ぎた後の菊、晩秋の頃に、咲き残っている菊の花という意味になります。
ですので、「残菊の侯」は、全体として、「またまだ、菊の花が残っている頃」、「菊も散り際を迎える頃になりましたが‥」という意味が込められています。
残菊の候が使える時期は?
残菊の候を使う具体的な時期は、およそ、11月になります。
11月7日頃には、すでに、立冬になり、暦の上では、冬です。
それ以前の晩秋から初冬の頃に使われるのが、残菊の侯という時候の挨拶です。
旧暦の9月9日は、現行暦では10月下旬頃を指しています。
旧暦と現行歴では、およそ、1か月ぐらいのズレがあるため、現行暦では、11月頃となるわけです。
残菊の候を使った例文
ここでは、「残菊の候」を使った例文をビジネス・公的な手紙、上司・恩師に送る手紙、友人・知人に送る手紙の三つのシーンに分けて、ご紹介します。
ビジネス・公的な手紙
〔書き出し〕
拝啓 残菊の候、貴社、ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
拝啓 残菊の候、貴社、ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
〔結び〕
末筆ながら、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。敬具
何かとご多用とは存じますが、くれぐれも、無理などなさらないようご自愛ください。敬具
上司・恩師に送る手紙
〔書き出し〕
拝啓 残菊の候、朝夕冷え込む季節ですが、お元気でお過ごしでしょうか?
拝啓 残菊の候、日に日に秋が深まる季節となりました。いかがお過ごしですか?
[結び]
向寒のみぎり、お体には、お気をつけてお過ごしください。かしこ
ご家族の皆様のご健康をお祈りいたしております。かしこ
友人・知人に送る手紙
〔書き出し]
残菊の候、寒くなってきましたね。お元気ですか?
残菊の侯、そろそろコタツが恋しい季節となり、我が家でも、ストーブが活躍し始めました。
〔結び〕
くれぐれもご自愛くださいませ。
温かい食事を囲みながら、お会いできる日をお待ちしています。
さいごに
「残菊の候」は、11月に使える時候の挨拶です。
「残菊の侯」は、漢字の部分を音読みにして、(ざんきくのこう)と読みます。
菊という漢字は、きくという読み方しか、存在しないため、このような読み方になっています。
残菊の意味は、晩秋の頃に、咲残っている菊の花という意味になります。
「侯」は、季節、時節、自然現象を表す言葉で、「〇〇の侯」は、「〇〇の季節になりましたが‥」という意味になります。
ですので、「残菊の候」は、「菊の花が残っている頃」、「菊も散り際を迎える頃になりましたが‥」という意味になります。
「残菊の候」の使える時期は、主に11月です。
ということで、この秋、あなたも、「残菊の侯」を使って、親しい方や友人に、手紙を書いてみてはいかがですか?
風情があっていいと思いますよ。
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